病気と予防

手足口病

2012.7記

ナツカゼの代表格の一つ、手足口病。
そろそろ流行してくる季節です。

症状
手足口病は、その名のとおり、手足、口に発疹ができる病気です。
手足には水泡が、口の中には口内炎ができます。舌にできることもあり、痛みがあります。
2日程度の短期間の発熱も見られます。
発疹は手のひら、足の裏、ひざ、おしりなどに比較的よく見られます。症状は通常は比較的軽く、数日で回復します。発疹はかさぶたにはならずに治癒します。
口内炎がひどく、食事や水分がとれずに脱水になる場合があります。特に舌にできてしまった場合には痛みが強くて食べなくなってしまう傾向が強いです。

 

原因は、コクサッキーウイルスA16、A10、A6,エンテロウイルス71など、複数のウイルスによります。毎年流行するウイルスが替わり、臨床像も少しずつ異なります。
昨年はちょっと変わった手足口病が大流行しました。コクサッキーウイルスA6 によるものだったのですが、水泡が大きく、たくさん出る傾向がありました。太ももやおしりにも多く見られ、当初診断がつかずに悩みました。治癒後に手足の爪がはがれて脱落することが見られました。
(写真1・2)

写真1

写真2(IASRサイトより引用)

 

合併症としては、無菌性髄膜炎、脳炎、心筋炎、急性弛緩性麻痺 などがあります。
無菌性髄膜炎、脳炎はエンテロウイルス71による手足口病が流行したときに多く発症するといわれています。東南アジアでは、死亡例を伴う大流行が繰り返されており、中国では2010年に900人が死亡しているそうです。

 

また、成人例はいままであまり注目されてきませんでしたが、昨年の流行で、子どもより重症になった母親の例が報告されています。発熱、発疹、口内炎がみられ、発疹は手指全体、外耳、膝、腹部、足底に水疱が広がり、強い 痛みを感じるようになったそうです。水泡崩壊後の痛みはしばらく続いたと報告されています。お母さんたちも、抗体がない場合にはかかってしまい、その場合には大変な思いをされることになるかもしれません。

治療
特別の治療はありません。自然に回復を待つのみです。口内炎がひどい場合には、痛みどめや口内炎の塗り薬を処方することがあります。脱水になってしまった場合は点滴なども行うことがあります。
口内炎にしみないような食べ物や飲み物を与えて下さい。薄味のものがよいでしょう。
シェイクなどもよいかもしれませんね。

感染
唾液などによる飛沫感染、便中に排泄されたウイルスによる感染、水疱内容物からの感染などがあります。便中へのウイルスの排泄は数週間にわたり、症状が消失した患者からも感染する可能性があります。
そのため、数日の登校登園停止では、流行阻止はできません。本症の大部分は軽くすむ疾患なので、長期にお休みさせるのは実際的ではありません。通常の流行状況での登校登園は、患者本人の状態によって判断すればよいと考えられています。発疹は出ているが、熱もなく、口の中の痛みも強くなく、元気でいる場合は、登園登校は可能です。

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