院長コラム

2015年01月01日院長コラム

読みきかせと子守歌

絵本の読み聞かせ、みなさんもお子さんにしてあげていると思います。お父さんお母さんご自身も、絵本を読んでもらった思い出を何かしらお持ちなのではないでしょうか。

私も、父母によく読み聞かせをしてもらっていました。
父は、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」をよく読んでくれました。繰り返しよんでもらっているうちに、父の口調まで覚えてしまいました。今でも、<「こら、たぬき、お前はたぬき汁というものをしっているか。」「たぬき汁ってぼくしらない」>という、ゴーシュと子ダヌキのやり取りをよむ父の声がよみがえります。

母は、もう少し大きくなってからですが、十五少年漂流記、小鹿物語などを読んでくれました。長いお話ですから、何日、ときには何週間もかけて少しずつ読んでもらいます。夜寝る前に布団の中にはいったまま読んでもらうのですが、ストーリーの展開が楽しみで、毎晩ワクワクしながら布団に入ったのを覚えています。

子どもたちは、お父さん、お母さんが読み聞かせてくれる言葉をきき、心の中で空想をふくらませます。そして、それぞれの子がそれぞれの心の中に世界を豊かな世界を作ります。その世界のベースになるのが、お父さん、お母さんの愛情のこもった声で読まれるストーリーなのですから、すばらしいことですよね。想像力豊かに育つことは、将来にむけて夢をもったり、人の心の痛みを理解したりすることにつながります。
テレビやゲームなど、目の前に画像がでてきてしまうものでは、想像力が育たないと思うのです。是非、お父さんお母さんの声で、たくさん本を読んであげてください。

赤ちゃんたちも絵本の読み聞かせに興味を示します。赤ちゃんの視力は弱いですから、大きな絵、はっきりした色のものが赤ちゃんむきの絵本として出されています。「いないいないばあ」などは代表的な赤ちゃん絵本ですね。勢いよく ばあ!と読んであげると、きゃっきゃ言って赤ちゃんが笑います。かわいいですね!


お父さん、お母さんが子守歌を歌ってあげるのもいいですね。抱っこして、ぎゅっとして、子守歌を口ずさむ。お母さんの鼓動が子どもに伝わり、声の振動も伝わり、安心感が生まれます。お母さんの腕の中で次第にまぶたが閉じて、すーっと眠りにおちていく赤ちゃん。見ていて幸せな気分になるひとときですね。

小学生のころの思い出です。夜、眠くなってソファーで寝てしまった私を、父が抱いてベッドまで連れて行ってくれたことがありました。<アイルランドの子守歌>を口ずさみながら。父に抱かれて揺られながら、ベッドに運んでもらう心地良さ。寝たふりをして最後まで運んでもらいました。あの心地良さは40年経った今でも感覚として残っています。

子育て中は何かと忙しく、心の余裕もなくなりがちですが、絵本を読んであげたり、お歌を歌ってあげたりすることで、お母さんお父さんの気持ちもきっと優しくなります。そして、お父さんお母さんの声やゆらゆらと抱かれた感覚など、子どもの五感に働きかける子育ては、子どもの心の基地を作ることにもつながるのだと思います。

クリニックにはたくさんの絵本を用意しています。お歌の本もありますよ。気に入った絵本、是非みつけて読んであげてくださいね。