院長コラム

2013年11月01日院長コラム

赤ちゃんと絵本

赤ちゃんに絵本を読んであげたいのですが、落ち着いて見ていません。
どうやって読んであげたらよいですか?

小さい赤ちゃんが、パパやママのお膝の上で絵本を読んでもらう。穏やかで微笑ましい光景ですね。
しかし実際は、赤ちゃんが勝手にページをめくってしまっている。なんて事が多いと思います。
このような事は赤ちゃんに限らず、全年齢のお子さんに見られます。
ここでは絵本を楽しむためのヒントをお話ししたいと思います。

1.まだ絵本に慣れていないからかも…

最初から「読んであげよう!」と思わず、お子さんと一緒に絵本の絵を楽しんではいかがでしょう。
お子さんがめくった先に出てきた絵をヒントに、パパやママがストーリーにこだわらずに話しかけてあげてください。
赤ちゃんでも、ページの中に自分が良く知っているものを見つけて声を出したり、笑ったり、指差してみたりと反応を示します。
パパ、ママはそのチャンスに「ワンワンだね、かわいいね~」、「リンゴ、もぐもぐ食べたね、おいしかったかな?」など、日々の体験やお子さんの表情に合わせて、たくさん語りかけてあげると、大好きなパパ、ママのお膝の上での絵本との距離がグッと近づくと思います。

2.まだ難しいのかも…

読んであげようとする絵本が、少し難しいのかもしれません。お子さんの実年齢、書店や図書館での紹介、絵本に書かれた推奨年齢にこだわらず、心の年齢に合わせた絵本を用意した方が良いこともあります。
パパやママが読んであげたいお話と、お子さんが読んでほしいお話に差があることは多いことです。
お子さんが「読んで!」と持ってきた絵本は「喜んで!」と読んであげてください。その際、途中で飽きてしまうこともあるかもしれません。その時はあっさりそこで中断しましょう。そして次の絵本を探してきてもらうのです。お子さんは絵本を通してパパやママと触れ合っていたいのですから、無理に最後まで読もうとすると絵本タイムが楽しくなくなってしまうからです。
まだ絵本のお話に関心がないようなら、お子さんの興味のあるもの…自動車、動物、食べ物…等を題材にした絵本から始めてみてはいかがでしょう。

3.テレビがついたままになっていませんか?

テレビの映像や音は、小さいお子さんの心を乱して集中力を奪ってしまいます。
また、読み手であるパパやママの意識も、いつの間にかテレビに向かってしまいます。お子さんは、大好きなパパやママの意識が自分に向いていないことを敏感に察知し落ち着かなくなります。
アメリカの小児科学会は、「2歳以下の子どもたちにはテレビを見せないように」と提言しています。 前述したようにテレビの映像や音は、直接的に子どもの気を散らかし、親の子供に対する注意を減らすことが研究によって明らかになっています。
また、2歳以下でテレビやビデオをたくさん見ていた子どもは、短期的に言語表現能力に遅れが生じ、1歳以下でテレビを1人で見ていた子どもは深刻な言語発達遅延になる可能性があるとも言われています。
赤ちゃん、子どもの時期に五感を駆使し、体を使い、人とかかわりながら遊ぶことが、お子さんの発達にとって大事なことです。しかし、体験させてあげるのにも限界がありますよね?

それを補ってくれるのが絵本の世界です。
絵本を読んでもらっている子どもは、パパやママという安全領域の中でお話を聞きながら、空を飛んだり、海の底に沈んだり、山を越えたり、動物と仲良くなったり、大好きなものとの別れを経験したり…と様々な冒険の旅に出ています。そこでは、ワクワク、ドキドキで楽しんだり、悲しんだり、自分が主人公になって感情を共有していきます。

これを疑似体験といいますが、生の感情、体験としてお子さんの中にひっそりと積もっていき、想像力が豊かになるそうです。
どうぞ絵本は静かな雰囲気の中で読んであげてください。(おすすめは夜寝る前のお布団の中!)
そして、読み手であるパパ、ママも絵本の世界で主人公になって楽しんでください。
お子さんはパパ、ママと同じ体験をし、同じ楽しみを共有できて、ますます絵本が好きになることでしょう。

親子で絵本の世界を旅するひとときを共有し、共感する「楽しい共通体験」が、子どもの心に深く残って刻み込まれ、目には見えない親子の絆に繋がっていくのだろうと思います。
楽しく豊かな絵本タイムを過ごしてくださいね。