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妊婦さん必読! 先天感染症②サイトメガロウイルス
1.サイトメガロウイルスとは
サイトメガトウイルスのことをきいたことはありますか?妊婦さんにはぜひ知っておいてもらいたい、感染症の一つです。
サイトメガロウイルスは、大人になるまでに70%以上の人が感染している、ウイルスです。通常の免疫力のある人が幼児期に感染する場合、ほとんど症状がでないです。もう皆さんの体の中には、住み着いているかもしれません。
しかし、お母さんが妊娠中にはじめて感染すると、胎児に感染をおこし、様々な症状がでることがあります。
2.先天性サイトメガロウイルス感染症
母が妊娠中に初めて感染したときにおこります。胎盤を通してウイルスが胎児に感染し、様々な症状をおこします。無症状な場合もありますが、低出生体重、肝脾腫、小頭症、脳内(脳室 周囲)石灰化、肝機能異常、血小板減少、難聴、脈絡網膜炎、など重症になる場合もあり、多彩です。出生時には軽症でも、後に難聴や神経学的後遺症を発症する場合があり、早期発見が必要です。
特に難聴は、出生時におこなう<新生児聴覚スクリーニング>で問題がなくても、その後徐々に進行してくる場合があります。年齢が大きくなっていくにつれ、言葉の遅れなどが気になっていく場合には、早めに小児科、耳鼻科などに相談しましょう。その場合は、耳の聴こえが心配、ということを伝えていただくことが大切です。
3.母が妊娠中に感染したかどうかの判断
妊娠前に採血して、抗体をもっているか確認することができます。抗体をすでに持っている場合には、それほど心配はいりませんが、抗体をもっていない場合には、感染をおこさないように注意深く過ごすことが大切です。
4.診断
生まれたお子さんが先天性サイトメガロウイルス感染症が疑われた場合、診断する方法はいくつかあります。
- 採血(本人から及び臍帯血で抗サイトメガロウイルスIgM抗体をしらべる)
- 尿中のサイトメガロウイルスの検出(生後2~3週間以内)
- 臍帯・マススクリーニングの沪紙血からのDNA、mRNA診断
などがあります。いずれも100%の診断率ではありません。状況に応じて選択します。
5.感染源と予防 ←ここが一番大切!
サイトメガロウイルスは、ウイルスを持っている人から感染します。
特に乳幼児の尿やよだれからはウイルスが多く排泄されます。
そのため、未感染のお母さんが2人目のお子さんを妊娠したときや、保育士さんなどの仕事をしていて乳幼児の世話を日常的にする場合などには注意してください。
- おむつを変えた後は石鹸をつかって20秒程度手洗いする。
- よだれを手でふかない。
- 同じスプーンで食べたりしない、食べ残しをたべない。
- 唇へのチューをしない。
などの注意が必要です。
保育士さんは、乳児クラスの担当からは可能なら外してもらうこともよいかもしれません。
6.治療
サイトメガロウイルスのウイルスに対する抗ウイルス剤はいくつかあります。医師が症状の進行や副作用などを検討して使用を考慮します。
最近、若いお母さんたちの間で、サイトメガロウイルスの抗体を持っている人が減っているそうです。衛生状態の改善、少子化など、さまざまな環境が関連しているものと思われます。
若いママたちが抗体を持たなくなると、お腹の赤ちゃんに影響がでるリスクが高くなる。これは、他の、風疹、トキソプラズマなどの先天感染症に共通の問題ですね。世の中の変化に伴って、向き合っていかなければいけない疾患も変わってきます。知識のアップデートは大切ですね。私たち医療者も、しっかり若いお父さんお母さんの知識のサポートをしていくようにがんばります。
先天性サイトメガロウイルス感染症に関しては、<トーチの会>のサイトメガロウイルスのページに非常に詳しく書いてあります。ぜひ読んでみてください。
http://toxo-cmv.org/cmv.html
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