症状一覧
肉はよく焼く(食中毒)
感染性胃腸炎という言葉は、保育所などに通っているお子様をお持ちの方は、よく耳にされる言葉だと思います。
最近注目度が高いのは、ノロウイルスですね。
冬になると、あっという間に保育室に広がり、子どもたちやお父さんお母さんを悩ます感染症です。家中の人が吐いている、などという状況もよく見られます。
一方、夏に多くみられる感染性胃腸炎もあります。食中毒を起こす、細菌性腸炎がその代表です。
細菌性腸炎は、サルモネラ菌、キャンピロバクター、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌などの菌が原因でおこります。
サルモネラ菌、キャンピロバクター、病原性大腸菌などは、鶏や牛などの腸管に常在していて、動物を食肉に加工するときに肉を汚染します。腸炎ビブリオは、魚介類や海水にいる菌です。ブドウ球菌は皮膚の表面などに住む菌です。
<症状>
細菌性腸炎の症状は、一般的にはウイルス性の腸炎よりも重いことが多いです。
発熱、血便、頻回の水様便などがみられ、腹痛も強いです。私は、血便がある場合や、大きい年齢の子の頻回の下痢、発熱があった場合には、細菌性腸炎を疑って検査をしています。
細菌性腸炎は、細菌が作る毒素が原因となるものと、細菌の侵入そのものが原因となるものがあります。毒素には、さらに、毒素そのものが体にはいって症状をだすものと(ブドウ球菌)体内にはいった菌が毒素を出すもの(病原性大腸菌、腸炎ビブリオ)などがあります。
<対応策>
1.よく加熱する
細菌の多くはよく加熱することで死滅します。
数年前、焼肉屋のユッケが原因で発生した病原性大腸菌O157の集団食中毒で、85例が発症し、5例が死亡したのは皆様もおぼえていらっしゃることと思います。小さな子どもが死亡した、痛ましい事件でした。その後、調査がすすみ、生肉に対する法律が厳しくなり、生レバーを食べることは法律で禁止されました。
肉は、中までよく加熱することが必要です。特に、ハンバーグなどは、肉をミンチにして混ぜていますので、表面に付着していた菌がハンバーグの中にまで侵入している可能性があります。内部まで、75℃、1分以上の加熱が必要です。昨今、半生のジューシーハンバーグ、なんていうのがありますが、子どもには食べさせないほうがよいですね。子どもは、抵抗力が弱く、重症になるリスクが高いです。
2.よく洗う
肉を調理したまな板や包丁などに菌が付着していて、その後に作った野菜サラダなどに混入してしまうことがあります。
野菜自体に菌がついていることもあります。調理前、調理後には、調理器具や材料をよく洗いましょう。
3.すぐ食べる
菌が残っていても、量が少なければ発症しない場合が多いです。菌が増殖する前に食べましょう。
また、ブドウ球菌の食中毒は、食品の表面に付着したブドウ球菌が毒素を産生し、その毒素により食中毒を起こします。お弁当などでよくみられます。毒素は熱に強く、再加熱しても無効です。早めに(毒素が産生される前に)食べること、手に傷がある場合はお弁当の調理をやめること、などが必要です。
せっかくのご馳走が、健康被害や悲劇につながらないために、食中毒防止の基本をおさえておきましょうね!
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