症状一覧

2013年09月01日症状一覧

夜尿症(おねしょ)について

夜尿(おねしょ)は、5才児の20%、10才児の10%程度に見られます。
5、6才を過ぎても月に数回以上おねしょをすることを夜尿症といいます。

夜尿症は、寝ている間に作られる尿の量と、尿を貯める膀胱の大きさのバランスが悪いことによっておこります。
<多尿型>
 夜にたくさん尿ができてしまって、膀胱に貯めきれずに漏れてしまう。
<膀胱型>
 膀胱が貯められる量が少ないので、漏れてしまう。
<混合型>
 尿の量も多いし、膀胱も小さいので漏れてしまう。

 

夜、眠りが深くなると、抗利尿ホルモンというホルモンが出ます。このホルモンの働きは、尿を濃くして、尿量を少なくすることです。
赤ちゃんの頃は、このホルモンの働きが弱く、尿を濃くすることができません。しかし、成長するにつれ、ホルモンがしっかり出て、夜間に作られる尿の量が少なくなってきます。そのため、一晩中おしっこをせずにすごすことができるのです。
しかし、中には成長しても抗利尿ホルモンの働き方が弱くて、夜間の尿が濃くならないこどもがいます。その場合、できた尿を膀胱にためることができずにお漏らしをしてしまいます。

 

膀胱に貯められる尿の量は、小学校2年生では200ml程度、それ以上では250ml以上が正常範囲といわれています。
膀胱が小さくて貯められる量が少ない場合、夜間にできた尿を貯めきれずにお漏らしをしてしまいます。

生活改善
夜尿の対応の基本は<起こさず あせらず おこらず> です。
夜、起こしてトイレに連れて行くと、抗利尿ホルモンの出が悪くなって逆効果です。
失敗してもしかったりせず、大きめのおむつをはかせたり、シートを敷いたりして、夜はぐっすり寝かせてあげましょう。
夕食は早めにすませ、塩分控えめに。
夕食時の水分摂取は控えめにしましょう。汁物などはやめておきましょう。
夕食後は、基本的には水分は取らないようにします。どうしても喉が渇いてしまって我慢できなかったら、氷をちょっと口に含むなどしてみてください。
おしっこを我慢する練習も効果があります。我慢して、膀胱に尿をためることで、膀胱の大きさが大きくなり、貯められる量が増えます。
便秘は、便がたまった腸が膀胱を圧迫し、膀胱容量が減るため、夜尿が悪化します。便秘のコントロールが必要です。

 

夜尿の治療
●多尿型には、尿を濃くする薬(抗利尿ホルモン)が有効です。以前は点鼻薬でしたが、昨年からミニリンメルトという内服薬が発売され、使いやすくなりました。
●膀胱型には、抗コリン薬という、膀胱機能を安定させる薬を使います。
●三環系抗うつ薬という薬を使用することもあります。もともとはうつ病の薬ですが、抗利尿ホルモンの分泌を促す作用と抗コリン作用があります。
●アラーム療法 夜間の尿は少なくて尿が貯められるはずなのに、夜尿が出てしまうような状況(解離型)のときに試みます。

 

専門医への受診
●日中のおもらしがある場合
●1晩に2、3回の夜尿がある場合
●小学校高学年以上で、毎日夜尿がある場合は、泌尿器科的な検査などが必要になる場合があり、専門医(小児泌尿器科)への受診をお勧めしています。

夜尿症は、治せることが多い病気です。年齢があがると、本人も人知れず悩んでいることが多いです。特に、学校の宿泊学習などがあると、プレッシャーを感じてしまいますね。小学校低学年のうちに、治療にとりくむと、焦りが少なくて良いと思います。
薬品メーカーのHP(おねしょナビ)も、わかりやすいので、参考にしてください。
http://www.kyowa-kirin.co.jp/onesho/

夜尿症は、気持ちがちょっと変わっただけで、突然なおってしまうことがあります。私の経験のなかでも、何人か、特別な治療はせずに、治ってしまったお子さんがいます。
★夜尿の相談をした翌日から、話をしただけなのに、夜尿が見られなくなった子。
★アラーム療法を試みて、アラームをつけただけで夜尿が見られなくなった子。(アラームは一度も鳴りませんでした!)
★失敗しなかったらお気に入りのシールを貼る、という方法で、夜尿がなくなった子。
家族だけで困っているときには、ちょっと相談してみてください。