症状一覧

2011年07月01日症状一覧

麻疹

平成18.19年に、全国の大学で麻疹が流行し、多くの大学が休校などの措置をとったことは皆様の記憶にも新しいと思います。その後、ワクチンの2回接種、積極的な接種勧奨などの対策により、麻疹の発生数はかなり減ってきました。しかし、麻疹という病気を鎮圧できたわけではありません。
今年になって、ヨーロッパやアジアから持ち込まれた麻疹の報告が増え、5月までで281人の麻疹患者が報告されています。東日本大震災を取材にきた欧州のジャーナリストが日本にきて麻疹を発症したという報道もあり、麻疹の再流行が心配です。

症状
麻疹は、まず、咳と鼻水、発熱から始まります。40度近い発熱が一週間近く続きます。鼻水ぐずぐず、目脂も多くみられます。
はじめのうちは発疹はみられず、普通のかぜとの区別が難しいです。2~3日間、このような状態が続いたあと、顔や身体に発疹が出てきます。発疹がでる少し前に、ほおの内側の粘膜にコプリック斑と呼ばれる白い発疹がでますが、24時間ほどで消失します。合併症がおこらなかった場合には、発疹がでて3~4日、熱の出始めから7日程度で治癒します。発疹は、色素沈着 を残すのが特徴で、熱が下がっても、何となく黒ずんだあとがかなり長く残ります。

・脳炎
最もこわい合併症です。麻疹の脳炎は、麻疹患者1000人に1人の割合でおこるといわれています。麻疹の経過中、多くは発疹期に意識障害、けいれんなどがおこります。死亡率は非常に高く、後遺症を残すことも多いです。
その他に、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という、じわじわと忍び寄るこわい脳炎もあります。麻疹のウイルスが脳の中に残っていて、麻疹の後数年して(平均7年)行動異常や知能低下などの症状が出てきます。症状は進行性で、ほぼ確実に死に至ります。
・肺炎
間質性肺炎といって、レントゲンをとると肺が真っ白になっていたりします。もともと気管や肺が弱いお子さんなどでは、呼吸困難をおこし、死に至ることもあります。
・その他 麻疹には、細菌感染が合併することが多いです。肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、などです。これは、麻疹ウイルスによって、免疫力が低下させられているためです。免疫力の低下はかなり長く続きます。

 

治療
麻疹のウイルスを殺す薬はいまもって開発されていません。
2次感染を治療するために抗生物質、脱水を治療するために点滴等が行われます。肺炎、脳炎になってしまった場合は、その状態に応じて、生命を維持するための治療が行われます。
もし、麻疹患者と接触してしまった場合、麻疹のワクチンを72時間以内にうてば、発症予防ができるかもしれません。また、γグロブリンという、成人の血液 から抽出した抗体を、接触後72時間以内に注射すると、発症予防、軽症化が期待できます。発症してからも、軽症化させるため、γグロブリンを注射すること があります。しかし、γグロブリンは血液製剤なので、他の未知の病原体の感染がありうるという欠点があります。

予防
麻疹ウイルスは感染力が非常に強く、予防接種以外に有効な予防方法はありません。
予防接種は、1歳と幼稚園・保育園の年長さんの2回、接種します。1歳のお誕生日には麻疹のワクチンを!保育園などの集団生活に乳児期から入る場合には8ヶ月くらいからワクチンを任意で行うこともできます。
また、来年度(平成24年度)までの時限措置ですが、中学1年生と高校3年生も公費接種の対象となります。また、平成23年は、海外に研修旅行などにいく高校2年生も対象となりました。

 

麻疹を日本から撲滅しよう!
麻疹は、本当にこわい病気です。高熱が一週間以上も続き、目があかないくらい顔が腫脹し、咳もひどくて大変です。患者さんのお母さんたちは、みなさん口をそろえて、『ほんとに死んでしまうかと思いました』とおっしゃいます。実際、1000人に一人は命を落とす病気といわれています。
無事に急性期から回復しても、半年くらいは免疫力がおちて、いろいろな感染症に悩むことがあります。また、亜急性硬化性全脳炎という恐ろしい合併症の可能性が残ります。

最近、保育園の保育士さんが麻疹になり、子どもたちへの感染が危ぶまれた例があります。麻疹に罹患すると、自分が大変な思いをするだけでなく、周囲に麻疹を拡げてしまうことにもなるのです。
麻疹にかかったことのないすべての人が、麻疹のワクチンを2回受けること。これが達成されれば、日本からの麻疹撲滅を達成することができ、日本の子どもたちを麻疹から守ることができます。

接種年齢(上記参照)になったら、一日も早く、麻疹のワクチンを受けましょう。
麻疹にかかったことのない人は、たとえ大人でも、麻疹のワクチンを受けましょう。
麻疹ワクチンを一回しか受けていない人は、2回目を受けましょう。
ワクチンうって麻疹撲滅!