症状一覧
スキンケア
冷たい風が吹き、空気が乾燥してくると、クリニックにも風邪の訴えとともに増える相談の一つが、『お肌のトラブル』です。
赤ちゃんの『乳児湿疹』や、カサカサのお肌にポツポツと出てきてかゆくなる『乾燥性湿疹』など比較的軽い症状から、これらを掻きむしってしまった所が赤くジクジクとしてしまったり、痛いし、かゆいしで夜もよく眠れない…など、症状が進んでしまったケースなど様々です。
今回は『お肌のトラブル』の最も基本的な治療ともいえる、『スキンケア』についてお話しようと思います。
基本 お肌の構造
お肌(皮膚)は大きく分けて『表皮』と『真皮』の二層に分かれ、スキンケアでは『表皮』に着目します。
表皮のバリア機能
『表皮』は汗と脂(あぶら)でできた皮脂膜といわれる天然保護膜と、その下のたくさんの潤いを保つ物質が、体の水分が逃げないように“ふた”をして潤いを保つ働きをもっていて、これを『バリア機能』といいます。
健康な皮膚はこのバリア機能が整っているため、水分の蒸発や、ホコリ・ダニなどの侵入を防ぎます。 しかし、乳児や肌の弱い子などは皮膚の機能が十分に発達していないので、バリア機能がうまく働かず、外部の刺激を簡単に受けやすくなって、様々なトラブルが現れてしまうのです。
『バリア機能』を整え守るために、スキンケアが欠かせないのです。
スキンケアのポイント
汗や皮脂、ホコリなどで、赤ちゃんといえどお肌は汚れます。
汚れはトラブルの元ですので、お肌を清潔に保ち、未熟なバリア機能を整えてあげましょう。
ポイントは大きく分けて3項目あります。
それぞれについてお話します。
1.石けんの選び方
● 防腐剤、着色料、香料の入っていない石けんを使用しましょう。
● ボディーソープとシャンプーは使い分けましょう。
- ボディーソープ
- 低刺激性、弱酸性のものを使用
- シャンプー
- ボディーソープや石けんは、頭皮に石けんカスが残りやすく、トラブルの一因になりやすいので、泡切れのよいベビーシャンプーがお勧めです。
2.入浴の仕方、洗い方
- ①お湯の温度は38℃
- 湯船につかる時間は3分以内を目安に!
※長湯・あつ湯は乾燥をすすめてしまいます - ②石けんをよく泡立てる
- 泡だてネット・泡だてポンプ容器で十分(じゅうぶん)に 泡をたててから使用します。
- ③手でもむように洗う
- 手でなでるように洗っただけでは、ブドウ球菌、ホコリ等は落ちません。
皮膚を傷つけない程度に素手でもむように洗います。 - 1才以上なら、やわらかいタオルを使用して洗いましょう。
1才を過ぎると汗や汚れも増えてきて、泡だけでは汚れを落としきれないので、やわらかいタオルで泡をたっぷりつけて洗います。
※スポンジや化学繊維の物、目の粗いタオルは、皮膚を刺激するので使用しないようにしましょう。 - ④しわのあるところを伸ばして洗う
- 皮膚のしわの出来やすい耳のうしろ、手足の関節、くびれ、脇、股(また)の付け根など、特に丁寧に洗いましょう。
洗う手順
洗ったところが汚れないように、できるだけ上から 頭 → 顔 → 身体の順で。
だっこの赤ちゃんは、
洗いやすいところからでも構いません。
顔の洗い方
おでこ、ほほ、鼻の下、目の周り、口の周りに泡を
つけて洗う。
しっかり泡だった泡は、目に入りにくいです。
手早くお湯をかけてすすぎます。
3.くすりのぬり方
- ●保湿剤は最低一日2回、できれば3~4時間ごとにぬり直します。
- (あごやほっぺは、食べ物やよだれでとれてしまうので食事(授乳)前後にぬる)
- ●ステロイド等の薬が出ている場合は、先に保湿剤を全身にぬってから、患部に薬をぬります。
- 回数は1日2回(朝・入浴後)(状態によってぬる回数を増やすことあり)
- ●くすりをぬる量
- 保湿剤として比較的よく出される、『ヒルドイド軟膏』で説明します。
大人の指の第一関節1つ分(0.5g)が「大人の手のひら2枚分」の面積にぬる量です。
(使い始めはチューブタイプのものが、量の目安がつきやすいでしょう。カップで処方されたら、小さじ1杯が0.5gです。)
ステロイド剤はチューブの口径がヒルドイドよりも小さいので、1関節半~2関節分が0.5gです。 - ☆目安として乳児で…☆
顔 ・・・ 赤ちゃんの顔は手のひら1枚分の量
身体・・・ オムツの上から肩ぐらいまでが手のひら2枚分の量
手足・・・ 手でぐるっとつかめる面積が手のひら1枚分の量
ぬり方の実際
☆顔~頭☆
◆ぬる時は手を洗って清潔にしてからぬる。
◆入浴後・シャワー後、
5分以内にぬるようにする。
◆ぬる前は肌を洗って、きれいにしてぬる。
顔全体
おでこ、鼻、両頬、あごに保湿剤を
点在させて、円を描くようにのばしていく。
目の周り
親指の腹を左右に動かすようにして、
保湿剤をのばす。
耳
人差し指と親指を使って、上下するように
ぬる。
耳のうら・付け根を丁寧に。
口の周り
両方の親指を使って、口の周囲に沿うように
保湿剤をのばす。
☆からだ~手足☆
◆保湿剤は左右、裏、表、等間隔においてのばす
のがコツ。
お腹と背中
左右対称に、6~8ヶ所 保湿剤を点在させ、
手のひら全体で円を描くようにのばしていく。
腕と足
保湿剤を等間隔に数ヶ所のせる。手指と手のひら
全体を使って、クルクルのばすようにぬる。
秋・冬生まれの赤ちゃんは、春・夏生まれの赤ちゃんに比べて、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患にかかりやすいといわれています。
これは乾燥によるお肌のトラブルが多くなる時期で、荒れて傷ついてしまった皮膚がダニやホコリなどのアレルゲン物質に刺激され、体全体がアレルギー反応を起こしやすくなってしまったためだといわれています。
丁寧で、こまめなスキンケアの時間は、かけがえのないスキンシップの時間でもあります。
ぜひ親子で楽しみながら、お肌の健康を保ってください。
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