症状一覧

2012年06月01日症状一覧

溶連菌

溶連菌は一年中みられる感染症ですが、毎年、春の新学期がはじまったあたりから、増加します。特に、運動会前後、流行することが多いですね。運動会直前に溶連菌になって、結局出られなかった、という悲しい思いをされたお子さんもいらっしゃると思います。
溶連菌は、人に感染して、発熱、咽頭炎、皮膚感染症、などを引き起こす細菌です。また、数は少ないですが、骨髄炎、菌血症、筋炎、副鼻腔炎などあらゆる感染症をひきおこすことがあります。
毒素を産生する菌のため、毒素によってもさまざまな症状が出現します。まれに、毒素によるショックを起こして重症になることがあります。
 ほかに、溶連菌への免疫反応によって、2~3週間経ってからみられる続発症があるため、確実な診断治療が必要です。

 

急性期の症状

  1. 咽頭炎:通常、発熱と咽頭痛を伴います。咽頭の発赤は非常に強く、周囲に出血斑がみられることがあります。口蓋垂(のどちんこ)やその上部が真赤に腫れたり、扁桃腺に膿が着くこともあります。
    首のリンパ腺が腫れることが多いです。
    年少児では咽頭発赤がそれほど強くなく、カゼ症状と区別がつき難いことがあります。
  2. 発疹:溶連菌の出す毒素によっておこります。
    発疹はごく細かく、身体が全体的に赤くなるように見えることもあります。
    首、わきの下、胸、腹部に出現することが多いです。この状態は猩紅熱という名前でも呼ばれます。発疹は2~3日で消えますが、その後に皮膚がぱらぱらむけることがあります。 じんましんがでることもあります。
  3. 苺舌:舌の表面がぶつぶつになることがあります。

診断
咽頭を綿棒でこすって検査します。数分で結果が出る迅速診断と、綿棒についた細菌を育てて検査する培養検査(2~3日かかる)があります。
お母さんの判断で残っていた抗生物質を飲ませてしまうと、正確な結果が出なくなってしまい、診断に迷うことがあります。解熱剤以外の薬を医者の指示無しで飲ませるのはお勧めできません。

治療
抗生物質をしっかり内服します。
薬の種類にもよりますが、一週間から10日間、忘れずしっかり飲みましょう。
10日間もこどもに薬を飲ませるのは大変なことですが、中途半端な治療になると、後に述べる続発症の原因になったり、お友だちに感染させてしまったりします。頑張って下さいね。

伝染について
人から人へ伝染します。飛沫感染です。潜伏期間は1~3日です。
診断がついて抗生物質を飲み始めれば、おおよそ24時間経てば他人には伝染しなくなります。
家族に感染している場合もあるため、家族の検査が必要な場合もあります。ご家族でのどの痛みや発熱がある場合は受診してください。
集団生活は抗生物質を飲み始めてから24時間以上は避けて下さい。

 

続発症 (急性期の症状の2~3週間あとにおこります。)

  1. 糸球体腎炎:血尿、蛋白尿が出現、尿量が減って身体がむくみ、血圧が高くなったりします。入院して安静、水分塩分制限などが必要になります。
  2. リウマチ熱:発熱が続き、関節の腫脹疼痛、舞踏病、心炎、皮膚症状(輪状紅斑皮下結節)等の症状がみられます。

  • 溶連菌後の腎炎は2週間後くらいから発症します。
    発症後2週間位したら尿検査で腎炎の発症が無かったか確認しましょう。
  • 当院では、抗生物質を飲み終わり4日ほどあけて、のどの診察をしています。場合によっては、溶連菌がいなくなったかどうかの確認ののどの検査をします。
    菌がのどから消えない場合があります。
    このような場合は、家族全員の検査と同時服薬が必要となったり、違う薬による治療等が必要になります。繰り返す場合は、扁桃腺をとる手術が必要になる場合もあります。

溶連菌は、非常に病原性の強い細菌です。まれですが、皮膚の傷などから溶連菌が入り込んだりすると、劇症型の感染症をおこし、死に至ることもあります。
また、毒素を産生する菌という特徴があるため様々な病気が発症します。溶連菌、侮れません。
発疹だけ、舌のぶつぶつだけ、というお子さんもいらっしゃいます。幼稚園、保育園、小学校のクラスで溶連菌が流行っている場合には、体調に変化がある場合には、かならず小児科を受診してくださいね!