症状一覧

2012年11月01日症状一覧

大人になってからの予防接種

先日、B型肝炎の記事を書いたところ、記事を読んで下さったあるお嬢さんから、<いままで予防接種をしないできてしまったけれど、汗や涙や唾液で感染してしまうのではもう手遅れ?もう感染してしまっているかな?予防接種は受けられないの?>という質問をうけました。

心配させてしまいましたね。B型肝炎は、患者さんは多いですが、気が付かないうちに感染してしまっている可能性は低いです。若い人たちの感染率は、1986年に母子感染防止事業が始まって以来年々減少し、1997年の調査では0.05%、つまり2000人に1人です。知らないうちに感染してしまっているのではないかと心配する必要はないと思われます。
しかし、ご家族や身近な人にB型肝炎のキャリアの方がいらっしゃる場合には、念のため、血液検査で感染をしていないかどうかの確認はしておいた方がよいかもしれません。
若い人たちの間で、小さいタトゥーをしている人をときどき見かけます。また、友達どうしでピアスの穴をあけたりということもあるようです。こういう行為は危険です。簡単なアルコール消毒などでは、ウイルスは死滅しません。滅菌した使い捨ての針を使って行うべきです。友達どうし、耳に穴をあけたりは絶対にしないように、ね。

B型肝炎ワクチンは、何才になっても接種できます。お父さん、お母さんも是非接種をおすすめしたいです。事故などで、他人の血液に接する危険はゼロではありません。大人も、接種スケジュールはこどもと一緒、3回接種(1回目と2回目は1か月、3回目はさらに6か月あけて)です。

大人になっても受けた方がよい予防接種についてお話しします。

麻疹風疹
麻疹風疹ワクチンは、かかっていない場合、すべての年齢で2回接種がのぞましいです。1回のみの接種ですと、抗体が低下してきて、感染してしまう可能性があります。
麻疹風疹ワクチンは、平成20年から、高校3年生、中学1年生、に補充接種(MR3期、4期)が行われてきました。ですから、麻疹については、22歳くらいまでの年齢層では、2回接種を受けているはず・・しかし、接種率は70%台と十分ではありません。
風疹は、平成6年以前は中学生の女子のみが接種対象でした。10月の記事にも書いたとおり、現在の成人男子は、ワクチン接種歴がない人がほとんどと言ってよいです。風疹は現在流行中であり、妊娠している、または妊娠する可能性のある家族がいる場合には、至急接種を受けていただきたいです。

百日咳
百日咳は、乳児期から受ける三種混合のワクチンによって防がれています。接種が、1才過ぎでおわってしまうため、抗体が低下し、年齢が上がるにつれて感染してしまうことが増えています。現在、百日咳の患者さんの50%が成人です。
三種混合ワクチンは、原則として10歳以上の方には接種ができません。アメリカでは、大人用に成分を調整した、Dtapというワクチンがあります。日本でも、周囲で流行してしまったときなど、三種混合ワクチンを量を減らして接種する場合があります。

水痘
水痘は、非常に感染力が強い病気なので、多くの場合子ども時代にかかってしまっています。成人になってからの罹患は、重症になることが多く、ぜひワクチンをうけていただきたいです。ワクチンを1回受けたが、かかってはいない、という方は、2回目のワクチン接種をお勧めします。一度かかっている方も、帯状疱疹予防のためにワクチンを接種する場合があります。

おたふくかぜ
大人になってから罹患すると、やはり重症になります。2回の接種をお勧めします。

このほか、日本脳炎、ポリオなども、流行地に長期滞在する場合などは、改めて接種する必要があります。

感染防御は、子どもの頃だけでなく、大人になってからも必要です。医療関係者など感染リスクが高い職種の人は、定期的に血液検査で抗体などを調べ、低いものはワクチンを受けて防御しています。
ワクチンは子どもだけのものではないのです。