症状一覧

2013年04月01日症状一覧

風疹大流行

風疹が流行しています。3月現在、昨年の22倍の発生数です。 これは、とても大変なことです。 風疹は、麻疹に比べ軽症の症状の病気ですが、一番問題になるのは、妊娠中のお母さんに感染すると、おなかの赤ちゃんに先天性風疹症候群が発症するということです。

風疹は、発熱、発疹、リンパ節腫脹が主症状といわれている病気ですが、症状は、熱が一週間も続くような非常に重いものから、症状がほとんどないものまで、様々です。症状がほとんどない人からも、感染は拡がります。
また、症状が出る前一週間くらい前から、ウイルスはでているため、発疹が出る前の風疹の患者さんからも感染します。そのため、風疹の患者さんを隔離するのは非常に困難(ほぼ不可能に近い)です。 予防接種を受けていても、抗体が低い場合は、感染してしまう場合があります。

 

現在、流行の主流は、成人男性(20代~40代)です。数としては女性の4倍にのぼります。これはどうしてでしょうか。
これは、過去の予防接種歴に原因があります。
風疹の予防接種は、昭和37年に始まりましたが、当初は女子のみが対象でした。そのため、昭和54年以前に生まれた男性は、風疹の予防接種を受ける機会がありませんでした。その後、制度の変更が数回あり、混乱して接種率が低い時期が続きました。男女とも1歳から風疹のワクチンを受けられるようになったのは、平成7年からです。平成12年生まれ以降は、1才時と年長さんの2回、今と同じ制度となりました。なお、平成2年生まれより年下の人は、MRワクチンの3期4期接種があったため、1回は接種できている可能性が高いです。
つまり、平成7年4月より前に生まれた人は、抗体が十分ではない(ワクチンを受けていないか、1回しか受けていない)と考えられます。これは、現在の成人男性ほぼすべての年齢にわたります。

最近、東南アジア、特にベトナムで風疹の大流行がありました。カンボジア、ベトナム、ラオスなどでは、未だに風疹のワクチンが導入されていないため、大きな流行がおきてしまうのです。この数年は、海外出張などでベトナムを訪問した人が感染し、日本の職場に帰ってきて風疹感染を拡げてしまうというケースが多いようです。職場の男性たちは予防接種をしていない人が多いですから、次々に感染が拡がります。一つの職場で17人が感染したケースもあります。

成人の間で感染が拡大すると、先天性風疹症候群の危険が高まることは言うまでもありません。職場内で妊婦さんに感染させてしまったり、家庭に持ち帰って家族に感染させてしまったりして先天性風疹症候群の発生がおきてしまいます。

妊娠する可能性のある女性だけがワクチンを受ける、という状況だと、風疹の流行を収めることはできません。流行が大きくなると、感染する危険性も高まります。たとえワクチンを受けていても、十分に抗体があがらなかった人は風疹ウイルスが血液中にはいりこんでしまうため、おなかの赤ちゃんに病気をおこさせてしまうのです。

とにかく大切なこと。それは、今の風疹の流行を止めることです。流行をとめるには、多くの人がワクチンをうけて、感染を拡げないようにするしか手段がありません。これは、決して人ごとではありません。風疹は、今、千葉市内でも、かなりのスピードで拡がっています。

お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん。
未来の赤ちゃんに悲劇を起こさないために、
ぜひ、風疹ワクチンをうけましょう。

ワクチンは、麻疹風疹の混合ワクチンでうけることをお勧めします。費用はかかりますが、未来の命を守るために、ぜひご理解とご協力をお願いいたします。
内科、小児科医院で接種が可能ですので、お問い合わせください。なお、妊娠している人は接種が受けられません。接種後2ヶ月は原則避妊が必要ですが、万が一2ヶ月以内に妊娠した場合でも、今までの報告では胎児に異常がでた例はないそうですので、あわてず、産婦人科医によくご相談下さい。