症状一覧

2013年10月01日症状一覧

アセトン血性嘔吐症

疲れたり、ちょっと風邪をひいたりすると、すぐに吐いてしまう体質のお子さんがいます。
昔は自家中毒、と呼ばれていました。アセトン血性嘔吐症という病気です。
遠足とか運動会とかでとても元気に一日を過ごし、疲れて夕飯も食べずに寝てしまったら、翌日の朝ぐったりとして起きられず、何か飲ませても吐いてしまう。
風邪をひいて熱が出ると、いつも吐気がでてきて吐いてしまう、水分がとれずにいつも点滴になってしまう。
こんな状況がアセトン血性嘔吐症のときの症状です。
こどもは非常にぐったりし、時には起こしても目が覚めない、とろとろ眠ってしまう、という状態になることもあります。

なぜこのような状況になるのでしょう。
人間の体の動力として、糖は大変大切な役割を果たしています。
糖は、体の中では肝臓や筋肉の中に貯蔵されています。肝臓の中の糖の貯蔵は数時間しかもちません。特に子どもの場合、貯蔵は少ないためすぐに使い果たされます。糖が足りなくなると、体は栄養源として脂肪を分解します。
その結果、ケトン体という代謝物が出てきます。ケトン体は酸性なので、血液は酸性に傾き、吐き気、腹痛などの症状がでてきます。
この状態をアセトン血性嘔吐症といいます。
また、血糖値もさがってしまうので、吐き気や眠気、ぐったり、意識混濁、といった低血糖の症状もでてきます。
血糖値は、正常では80~100くらいですが、子どもによっては、簡単に40以下にまでさがってしまうことがあります。低血糖は、脳にダメージをあたえてしまうこともあり、早急な治療が必要となります。

どのようにすればこのようなことが避けられるのでしょう。
まずは糖を補給することです。
ぐったりして吐いているときには、糖分と塩分の入った水分をほんの少しずつ飲ませて下さい。1回スプーンいっぱい程度を5分に1回くらい根気よく飲ませてください。
OS1などの経口補水液は糖分と塩分のバランスが整っていて、効率よく水分摂取ができます。吐気止めを使って水分がとれるようにしてあげても良いでしょう。
吐気が強くてどうしても吐いてしまう、ぐったりして眠りがち、などという状態の時には点滴などで早急に糖分と水分を補給することが必要です。

普段の生活で気をつけること。
食事(特に夕飯)をぬかないでしっかり食べることは大切です。アセトン血性嘔吐症を繰り返しているお子さんに関しては、食事は普段から脂肪分を控えめにして、高炭水化物、高タンパクの食事にすること、などが重要です。
また、過労にも注意しましょう。疲れ気味のときは早く寝かせる、休日はしっかり休養させる、夜ふかしさせないなどの気配りが必要です。
重症な自家中毒を繰り返す場合には、代謝異常や脳腫瘍など重症な病気がかくれていることがあります。あまり頻繁な場合には医師に相談して下さい。