症状一覧
誤飲
こどもが小さなおもちゃを飲み込んでしまいました。特にむせたり、吐きそうになったりはしていません。
このまま様子を見ていて良いのでしょうか。とがっている部分があったので心配です。
小さいお子さんの誤嚥、誤飲は、けっこう多い事故のひとつです。
よちよち歩きのこどもは、何でもお口に入れてしまいます。
もう少し大きいお子さんでも、遊んでいるうちに小さいおもちゃをついお口の中に入れてしまうということはよくあります。
気管に入った場合:
飲み込んだあと激しくむせた、呼吸が苦しそう、ゼイゼイする、等の症状があるときには、大至急、受診が必要です。その時に呼吸困難がなくても、異物が気管の中に残っているとあとで大事になりますので、せき込んだ場合には一応受診しておいたほうが良いでしょう。
本当に呼吸ができないような様子の時は、すぐに異物を取り除かなければなりません。
異物除去には、「腹部突き上げ法」と「背部叩打法」があります。
- 腹部突き上げ法
- 背部から抱きかかえるようにして、おへそのすぐ上、みぞおちより十分下方を、すばやく手前うえ側に圧迫するように突き上げます。
- 背部叩打法
- のどを詰まらせた子どもの背中、肩甲骨の間を強く何度も叩きます。乳児の場合は、片腕に乳児をうつぶせに乗せ、頭を体よりも低く保ち、背中の真ん中を数回強く叩きます。
乳児には、腹部突き上げ法は行いません。背部叩打法のみ行います。
日本医師会HP 救急蘇生法を参考にしてください。
気管異物は食べ物でも起こります。特に多いのは、ピーナッツや節分の豆などの乾いた豆類です。毎年、節分の日の周辺では、豆の誤嚥による緊急受診が増えるそうです。このような事故は、4~5歳のお子さんでも起きています。小学生になるくらいまでは、乾いた豆類は与えない方がいいでしょう。
飴玉も、豆と一緒ですね。小さい子には危険です。
食道に入った場合:
食道の途中に引っ掛かって落ちていかない場合には、内視鏡などでとらなければなりませんから、食物が飲み込めない、吐いてしまう、等の様子があったら、必ず受診が必要です。
胃までいってしまえば、その後は便の中に排泄されることが多いです。しかし、腸のどこかで引っかかって腸閉塞を起こす可能性もゼロではないので、腹痛、嘔吐がでてきた場合には検査が必要です。できれば、便のなかに異物が排泄されたかどうか、確認できると良いですね。
食道に異物が引っ掛かったまま長時間経過すると、その部分が潰瘍になってしまい、穴が開いてしまうこともあります。以前、錠剤のお薬を水なしで飲んで、食道の壁に張り付いたままになってしまったお子さんがいました。胃カメラで除去しましたが、粘膜はかなり痛んでいたそうです。錠剤のお薬は、必ずお水と一緒に飲んでくださいね。
飲み込んでしまったら、何とかして早く取り出さなければいけないものとしては、ボタン電池と、複数の磁石(ピップエレキバンなど)があります。電池が腐食して中身のアルカリ性の液が出てきたり、磁石が腸をはさんでくっついてしまったりして、腸に穴が開いてしまうことがあるのです。
レントゲンに写らないものをのみこんだ場合には、本当に飲み込んだのか、飲んだものが食道に引っ掛からずに胃まではいったか、などをレントゲンを撮って確認することはできません。
ご両親も、私たち医療者も、結構悩みます。お子さんがお口に入れてしまう可能性のあるものは、手の届くところには絶対置かないようにしましょう。
事故が起こってから慌てても遅いのです。トイレットペーパーの芯の中を通る大きさのものはみんな危険です。
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