症状一覧

2024年05月07日症状一覧

繰り返す熱

どんな病気が考えられる?
月に何度も熱を出すけど、免疫は大丈夫なの?
毎月のように熱を出すけど、へんな病気ではない?

お子さんが何度も熱をだすと、何度も病院に通って薬をもらったり、お父さんお母さんも毎月仕事を休まなければならなかったり・・・とても大変ですよね。

また、怖い病気が隠れているのではないか?と不安に思ったり、保育園の先生から「また熱ですか~多いですねえ」と言われたり、ということもあるかと思います。

クリニックの外来で診察していると、毎月のように熱を出す子は実はとても多いです。特に”幼稚園や保育園に通い始めて1年以内”のお子さんは、ほぼ毎月のように熱を出したり、熱まではいかなくてもずっと咳鼻水を出していることを非常によく拝見します。
かぜを研究した海外の論文(Heikkinen T, et al. Lancet. 2003 Jan 4;361(9351):51-9. )に、年間のこどものかぜをひく回数の平均値が記載されていました。それによると、1歳未満では「平均6回/年」もかぜをひくそうです。この中には幼稚園や保育園に通っていないお子さんも含まれているので、通っているお子さんの場合はもっと回数が多くなることが予想されます。
「毎月のように熱を出すけど、毎回咳や鼻水もでていて、ある程度元気があり、数日で症状のピークを過ぎる」という場合には、「何回もかぜをひいている」と考えられ、これはすごくよくあることなのです!!

ただ、「本当にかぜでよいか?」という見極めが非常に重要だと考えます。例えば、”毎月決まった時期に熱を出して、そのたびにのどに白いものがついている。検査をしても何も引っかからない”という場合、「周期性発熱」とい病気の可能性があります。また、診察してみると、”急性中耳炎を繰り返している”というお子さんもいます。何度も熱を出しているお子さんの中には、炎症性腸疾患や腫瘍などの病気が隠れていることもあります。
”いつもと同じ風邪かなと思うけど、もしかしてちょっといつもと違う?”という場合には是非当院へ連れてきてください!(もちろん、”いつもの風邪”でも連れてきていただくのも大歓迎です!)

免疫不全症という病気を心配していらっしゃる保護者の方もいるかと思います。お子さんの免疫不全症は”原発性免疫不全症”といって、非常に稀な病気です。”熱や風邪症状、嘔吐下痢などで体重が増えない”、”年に何回も中耳炎になり治療が必要”など、特殊なケースを除いて、あまり心配しなくてよいかと思います。
「免疫不全症データベース」というホームページがあり、保護者の方向けにも情報公開されているので、ご心配な方は一度参照してみてください。特に「原発性免疫不全症を疑う10の徴候」は参考になります。

クリニックではどんなことをするの?
検査はしてもらえるの?

まずは保護者の方からこれまでの熱の経過、熱を出す頻度、生活環境(保育園には行っているか、ご兄弟はいるか)などをお伺いし、お子さんをしっかり診察させていただきます。
診察の結果、”中耳炎を繰り返している”、”重症なアトピーを合併している”、”体重が増えていない”など、より詳細な検査が必要なサインがあった場合には、必要な検査を行います。
大きな病院へ紹介することもあります。

血液検査:血球の数、肝臓や腎臓の機能、ナトリウムやカリウムのバランス、体の中のたんぱく質の量などを評価できます。

特別な治療はあるの?

解熱薬

体温を1℃さげて、熱に伴う不快な症状を取り除く効果があります。効果は2時間程度持続します。

抗菌薬

中耳炎の場合、抗菌薬が有効なことがあります。その際、”お子さんの鼻咽頭に一緒に住んでいる細菌をしっかり倒せる種類の抗菌薬”を”十分な量”で”十分な期間”使うことが重要です。(これを誤ると改善しなかったり、再発したりします。)

シメチジン、プレドニゾロン

周期性発熱の場合、これらの薬剤が有効なことがあります。プレドニゾロンは発熱をおさめるのに有効で、シメチジンは次回の発熱をおさえるのに有効な場合があります。詳細は診察の際にお伝えします。

自宅でできることはある?

風邪の予防:

基本的な感染対策「”手洗い”、”うがい”、”手指消毒”」が大切です。

ワクチンを適切に接種する:

原発性免疫不全ではないお子さんも、ワクチンを打っていないと重篤な感染症にかかることがあります。逆に、定期接種になってるワクチンを打つことで、怖い病気(細菌性髄膜炎、急性喉頭炎など)をかなり防げると知られています。熱が出た場合に”ワクチンを打っている”というのはかなりの安心材料です。

水分をとらせる:

OS-1やポカリなど「塩分」「糖分」が入った水分を、たくさん摂取するのが大切です。熱がでたばかりの時は食欲も出ないことがあります。食事が全くとれない場合、体重×100ml程度の水分が必要です。

症状をよく観察する

元気は普段と比べてどうか、ご飯は食べられそうか、おもちゃを見せると遊ぶか、熱以外の症状はどうかなど、本人の様子をよく観察してあげてください。体温は必ず「接触式」の体温計で正確に測ってください。

入浴・シャワー

本人の元気がある程度あれば、お風呂は普段通りに入っても大丈夫です。

病気一覧

  • PFAPA症候群、周期性発熱
  • IgG4欠損症
  • 原発性免疫不全症